2013年7月28日日曜日

エスよりアイをこめて

ここに足を踏み入れたのは、確か11年前。思えばあのときのまま
今日まできてしまった。薄ぼんやりとした視界のまま、所定のいすに座り
冷たい金属にアゴをのせる。

赤と緑のどちらがはっきり見えるかを何度か繰り返したのち、
米粒のような文字をじっと見つめたりした。

11年前の笑顔はそのままに、髪の毛が少し白くなった店員は言う。
「申し上げにくいのですが、老視がはいっております」
「老視?ああ、老眼のことですか?」
「はい、そうともいいます。。。」

結局、ひとつ新調することにした。
先は見えにくいが、手元がしっかり見えるものに。

人生だって先は見えないのだ。
どんなに見たくても見えないのだ。
一歩一歩進んでいくしかないのだ。
私が通ったあとに道はある。
そう、それしかないのだ。

失敗や苦労のない人生を望むのは当たり前だ。
しかし、残念ながら失敗も苦労もない人生なんてありそうにない。

手元、足元をしっかりと見ながら
一歩一歩進んでいくしかないと
11年ぶりに眼鏡店に訪れて改めて実感した。

どんな道を歩んできたか?
振り返るにはまだ早いが、挫折も苦労もすべてがよかったと思うことができる。
それはきっと、前を向いて歩き続けてきたからだと思う。
どんなときでも、見えない先ではあるけれど、前を向いて、足元をしっかり見ながら
胸をはって歩いていきたい。新調した眼鏡をかけて。